Finish work
スミ入れとデカール貼り。 完成は目の前です。
スミ入れ
私がスミ入れに使う道具には特に変わった物はありません。 ペトロール、和彩用の梅パレット、撹拌スティックそして文青堂のWoody fit面相筆(5/0)です。 塗料はタミヤのエナメル塗料です、 ペトロールは油彩絵画用の溶剤ですが、普通のテレピン油より粘度が低いものです。 エナメル塗料を希釈するのに使用します。 また通常のエナメルシンナー程スチロール樹脂を犯さないので、比較的安心して使用できます。 スミ入れ塗料の濃度はどれくらいが適当かというのは、個人の好みもあるでしょうから一概には言えませんが、私はかなりシャブシャブに溶いています。 梅パレットは必ずフタが付いているものを使用します。 フタがあっても溶剤は飛ぶのですが、無いよりは随分マシになります。 ペトロールと梅パレットは画材店や手芸店で入手可能です。 グレーの様な色は薄めると顔料が分離しやすくなるので、時々撹拌スティックで撹拌しながら作業します。 文青堂のWoody fitは¥800くらいしますが、最近模型店でも入手しやすくなりましたので、ぜひ一度お試しください。 ¥300クラスの面相筆とは別次元の使い安さです。
ペトロールで薄めたエナメル塗料を用意します。 今回は機体色が白なので、ダークグレーを使用しました。 しかしもっと明るいグレーでも良かったかもしれません。 モールドの上にスミ入れ塗料を含ませた筆先をトンと置くように付けます。 するとモールドの中をスミ入れ塗料が走っていきます。 左の写真を拡大すると筆先を置いた場所が判ると思います。
VF-0Sは機体各所にリベットがあります。 リベットは一つ一つ筆を置いていくしかないので、大変疲れるのですが、休みながら根気良く作業します。
スミ入れ塗料が充分に乾いたら、表面にはみ出したスミ入れ塗料を拭き取ります。 このときシンナーを含ませたティシュで拭うようなことをしてはいけません。 モールドの中の塗料まで取れてしまいます。 私が知る限り拭き取りの一番良い方法は綿棒の片側にペトロールを含ませて、はみ出した部分をトントンと叩くようにします。 そうするとはみ出した塗料は綿棒に移るか、表面に浮いた状態になります。 そこで綿棒のペトロールを含ませていない方でトントンと叩いて吸い取ります。 この方法だと余程モールドが浅い場所等を除いて、モールド内の塗料まで拭き取ってしまうことはほとんどありません。 拭き取りに使う綿棒ですが、大人用のレギュラーサイズの物ではなく、"ベビー綿棒"等の名称で売られている、幼児用の細い綿棒がありますので、そちらを使用します。 VF-0Sの様にモールドが多い機体では、スミ入れを終了するまでに、20本以上の綿棒を使用しますが、早め早めの交換を心がけてください。
拭き取り前と後の写真をもう一枚。 写真奥が拭き取り前ですが、スミ入れは筆でモールドをなぞるわけではなく、モールド上に筆を点々と置いていくだけなのが、痕跡でお判りいただけると思います。 手前はペトロールを含ませた綿棒で叩くようにはみ出し部分を拭き取った状態。 この作業ではVF-0の物凄い機体モールドを堪能できます。
ホイールや脚柱などのスミ入れも忘れずに行います。 特に首脚のホイールはタイヤを塗る前にまずスミ入れをします。 その後で画面下にある先端を切った爪楊枝を裏側に刺し、爪楊枝を軸にくるくる回しながら艶消し黒を平筆で乗せていきます。 ホイールにはみ出した場合は、スミ入れ塗料を拭き取るのと同じ要領で修正します。
デカール
NO STEP をはじめ、現用機テイスト溢れる大量のコーションデカールもハセガワ・マクロスシリーズの特徴の一つです。 今回のVF-0Sも例外ではありません。
基本的には、まず機体のあちこちを走る黒い帯を貼ってしまい、帯が充分に定着した後でコーションマーク類を貼っていくという手順です。
ページの構成上、各ユニットごとに注意点を記します。
機首部はまず、アンチグレア(20)とサイドの帯(1,2)を貼ります。 1,2は少々貼るのが難しいので注意が必要です。 機首横の小翼が入るレール部分の上下に細くラインが分かれて伸びていて、この部分が大変曲がりやすい上に切れやすいです。 曲がりを修正しているうちに切れるということもあると思います。 レール下部分に関しては完成後は全く見えないので気にする必要はありません。 曲がった状態になるくらいなら切除しても良いです。 後は丸一モールドの部分(40)は、マークソフターを一滴たらして馴染ませてやります。 他は特に貼るのが難しいデカールはありません。
胴体は基本的に平らなので、デカールの貼付もそれほど問題は無いと思います。 小さなコーションマーク類の貼付位置は水を含ませた平筆で微調整します。
FASTパックを装備するならエンジンナセル部のデカールはラインだけでOKです。
最初に黒い帯を貼ります。 長いデカールは折れやすいので、充分に水につけた後、貼付位置まで台紙ごと持っていきます。 そこでデカールの端が少し台紙からはみ出る程度にずらします。 次にはみ出た端をパーツに合わせ、台紙を引き抜きます。 しかし、一発でベストポジションに決まるハズも無いので水に塗らした指で位置を調整します。 位置が決まったら布を押し付けたりマークソフターを垂らしたりせず、そのまましばらく触るのを我慢します。 すると、モールドに吸い付くようにデカールがパーツ表面に張り付きます。 デカールの中に若干残った空気を綿棒で押し出します。 これで、だいたい上手くいくのですが、エンジンナセルの場合、デカールをそのまま馴染ませるのは不可能なモールドがあります。 膝後ろの三角が二つ並んだモールドと、ノズル直前の溝です。 ここは24時間以上おいて、デカールが完全に乾いた後に切り取ります。(写真上の状態
) そしてセミグロスブラックでタッチアップします。(写真下) 最終的にトップコートをかけるので、タッチアップの痕跡は目立たなくなります。
主翼も最初に黒い帯を貼りますが、このデカールは長い上に細いので、このまま貼ろうとしても、なかなか上手く直線が出せません。 ラインがぐねぐね歪んでいては非常にみっともないので、まず、ラインを切断します。 左翼側は統合軍マークの入る部分、右翼側は機体番号が入る部分で分割します。 次に主翼上、左の写真で水色で示したモールドをガイドに分割したデカールを貼ります。 このモールドにラインの後端を合わせれば、綺麗な直線を出すことが出来ます。 右翼も同様にしてください。 今回NO STEPは片翼あたり13枚です。 大した量では無いので根気良く貼ればすぐに出来ます。 フラップの裏側に貼るのはNO STEPでは無く
NO PUSHなので注意してください。
FASTパックは地色が青みがかった暗いグレーなのですが、この色はシルバリングしやすいので、出来るだけデカールの余白を無くして貼りたいところです。 実際私の物も、光を当てない限りそんなに気になりませんが、撮影の為に蛍光灯をあてると、やはりシルバリングしました。 口マークのデカールは貼付位置を決めるのが難しい上に、数に余裕が無いので、失敗しないように注意が必要です。 貼付位置の微調整は水を含ませた平筆で行います。
ガンポッド上の"U.N.SPACY"は左右で天地が逆になりますので注意が必要です。
インストには「貼る指示のないデカールはご自由お使いください」・・・なんて書いてありますが、貼り終わってみれば、シートのデカールは殆ど貼っています。 全部貼り終えるのに、1機あたり、だいたい8時間くらいかかります。 二日か三日に分けて貼るのが良いでしょう。 さて、とりあえず全てのデカールを貼り終えたら24時間以上手を触れずに、ほこりのかからない場所で養生させます。 充分にデカールが定着したころをみはからって、各パーツに蛍光灯の光をあててデカールからの糊の染み出しをチェックします。 染み出しがあった場所は水を含ませた綿棒で拭ってやると綺麗になります。 この作業が済んだところで、デカール保護の為にトップコートを吹きます。 今回製作した301・フォッカー機はハイビジの機体なので、半ツヤを採用しました。 部品ごとにごく軽くトップコートを吹き、さらに24時間以上養生させます。
Assembling
いよいよ出来上がった各パーツを組み合わせて飛行機の形にします。
胴体
まず、胴体にバックパックを接着します。 バックパックは接着面が細く長いので接着した後、完全に熔着するまで、マスキングテープ等で補強しておきます。 ここが完全に接着する前に垂直尾翼を取り付けようとしても、バックッパックが落っこちたりします。 ここは、はやる気持ちを押さえてしばらく時間を置きます。 完全に接着できたところで垂直尾翼を接着します。 機体を裏返したりしての作業があるので、垂直尾翼は最後につけても良いのですが、垂直尾翼基部のビーバーテールがふにゃふにゃなので、この部分を最後に回すと、思いの他苦労します。
機首
機首に首脚を装着します。 首脚を接着する前に前面の収納庫扉(A2)を接着します。 A2には前照灯がついていますが、ここにM.V.Products製φ1.5のレンズパーツを取り付けました。
エンジン・ナセル
主脚の前照灯も首脚部同様にM.V.Products製のφ2.6のレンズパーツに交換しました。 VF-1に比べると、パーツが大きいので、組み立てに問題は無いと思います。 (但しピンセットは必須) ギアベーン(脚収納庫扉)は充分な接着しろがあるので、通常の接着剤でがっちりと接着します。
主脚ホイールにタイヤを取り付ける際、タイヤには表裏があるので、良く確認すること。 段差がある側が裏側(ホイールの段差と合わせる)。
ベンドラル・フィンの取り付けがイモ付けなので、この部分を真鍮線接続に替えます。 まずフィンのタボを削ります。 次にφ0.4のピンバイスでエンジンナセルのタボ受けの窪みの部分(左写真)とフィン側の後ろのタボがあった場所に穴を掘ります。 このとき、フィン側は斜めに掘ってしまうとフィンの側面に穴が貫通したりするので、慎重に作業してください。 適度な深さ(1mm程度)に掘れたところでφ0.3の真鍮線を植えます。 長いままの真鍮線の先端に瞬間接着剤を付けて穴に植え、固定出来たところで、適当な長さに切断してやると良いです。 写真では前後二本の真鍮線を植えていますが、前方の真鍮線はギアベーンの接続部とぶつかるので、無くても支障ありません。 後ろの真鍮線を長めにすれば、充分な保持力になります。
FAST パック
FASTパックを取り付ける場合、特にガイドらいしきものが無いので前後の位置決めが難しいです。 左の写真の様に赤いタービンラインとFASTパックの切り欠きの位置を合わせます。 (写真は撮影の為ベンドラルフィンを取り外しています)
ROLL OUT
最終組み立て〜完成
上記のユニット郡を最終的に組み合わせます。 機首部のレールに胴体前方の小翼の黄色い部分をあわせてスライドさせます。 きちんとはまるとカチッとラッチがかかります。 機体を裏返して、S型の頭部パーツを接着します。 腕部ユニットを真中にセットし、左右のナセルを接着します。 左右のエンジンナセルは、自重がかなりあるので、完全に接着が完了するまで手を触れないでおきます。 ナセルの接着が完了したところで、表側にし、コックピットにHUD(L1)を接着します。 次にキャノピーを接着します。 HUDやキャノピーの接着にはモデラースの"プロユース接着剤クリア"を使用しました。 最後に主翼をセットして、やっとロールアウトです。 お疲れ様でした。