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Introduction


VF-0S Box art ハセガワ・マクロスシリーズとしてはYF-21以来、約1年ぶりの完全新規金型となったVF-0S。 天神英貴氏のボックスアートは、VF-0がカッコ良く見える、絶妙の角度で描かれていますが、基本的にVF-1同様の変形システムながら、洗練されていないデザインが、いかにも急拵えで作った機体を感じさせます。 YF-19似の機首周りも胴体から後ろの洗練されて無さ加減をより強調しています。 今時、穴の空いたエアブレーキ、ラクダのコブの様に背中に張り付いたコンフォーマルタンク、そして変な形の垂直尾翼等、ものすごく”駄っ作機”テイストを感じさせ、そんな機体が好きな好事家にはたまらんものがあります。 キットの方も、VF-1のプロトタイプ的機体ということで、VF-1以上に現用機のテイストを盛り込まれ、これでもかと打たれたリベットや、機体を縦横に走るパネルラインが、この機体が技術の過渡期の機体でることを上手く演出しています。

VF-1の発売から3年が経ち、VF-1とほぼ同じ機体構成を持つVF-0は、ハセガワマクロスシリーズの進化を見るのには調度良いキットと言えるでしょう。 また、私自身も三年で作成方法等に考え方や手順の変化がありましたので、今回は新コンテンツとして、VF-0のHow to makeページを作ろうと思いました。 このページは航空機モデルの初級者を対象に、メーカー完成見本と同程度まで作ることを目的としていますので、中・上級者の方にはいささか物足りない内容だと思います。 しかし、他人の制作方法を見るというのも、それなりに面白いものだと思います。 実際、私自身は自分が作ったのと同じキットを他のヒトがどう料理したのかには、凄く興味があり、しょちゅう”VF-*”とかでググッています。 そんなワケで、お役に立てるかどうかは判りませんが、このコンテンツをお楽しみいただければ幸いです。

まずはお約束

本稿で"A1"、"F11"等の表記は部品番号を指します。 また"工程12"等の表記は、組立説明書の組立工程番号のことです。 ”331番”等の表記はGSIクレオス社のMr.カラーの番号です。 #600等の表記は耐水ペーパーの番号のことです。 "φ1.5"は直径1.5mmという事です。  "インスト"とはインストラクションマニュアルの略で、組立説明書のことです。

製作開始

下ごしらえ

まず部品の左右を間違えないように、脚柱やアクチュエーター等の微細パーツや機体背面等の大型で一つしか無いパーツを除いて、パーツ番号を極細の油性ペンでパーツ裏に書いておきます。 特にB6,B7等、左右がある部品では組み立て時に書き込んだ番号が大変役立ちますし、C8,C9の様なパーツでは左右を間違って接着するようなミスを防げます。

パーツ番号を書き終えたところで、通常なら仮組をしてみるワケですが、このキットに関しては、してもしなくても良いという感じです。 仮組で判るような注意点は、このページの中でだいたい紹介すると思います。 ただ、仮組をする場合はベンドラルフィンや垂直尾翼等の薄くて裏表があるパーツはとりあえずランナーから切り離さないでおくことをお勧めします。

次に接着して問題無いパーツは接着してしまいます。 具体的には 腕部はパーツの組み合わせに特に注意してください。 間違った組み合わせでも接着できてしまいます。 組み合わせを間違うと、左右の腕を接続するタブとスロットが向き合わず、接続不能になります。 さらに、腕パーツは接続ピンに頼って組むと、若干の段差が出来ます。 ピンを切り飛ばして接着する方が良いでしょう。 頭部、ガンポッドは問題ありませんが、ガンポッドの銃口パーツ(B19)はこの時点では接着しません。

修正作業

金型の方向の都合で、不鮮明なモールドや、ラインがあまり綺麗でないモールドの修正を行います。

ベクターノズルベクターノズル(K1,K2)の表面にはリベット状のモールドが打ってありますが、金型の方向の関係でサイド側はぼんやりと窪みが有るか無いかという感じです。 そこでココをφ0.5のピンバイスで彫りなおします。 パーツが薄いのですぐに貫通してしまうので注意が必要。 貫通したら溶きパテで裏打ちします。 穴の数が多いのと元のモールドが不鮮明なので、事前に極細マジックで穴を彫る位置に目印を打っておくと良いでしょう。 また、いっそのこと溶きパテでこのリベットモールドを全部埋めるというのも手です。 どちらにしても製品のままでは、なんとも中途半端な状態ですので、ここは根気良く作業するか、潔く「このブロックの機体ではノズルにリベットパターンは無い」という事にするしかありません。

E4部品の修正点機首部品(E4)の左側面、写真で赤く示した部分のモールドが、何故かガタガタになっています。(写真はスミ入れ時のもの) 右側面は問題無いので、技術的な問題ではなく出荷までに修正が間に合わなかったのだと思います。 しかし、この部分は他に比べてあまりにも酷いので、一旦溶きパテで完全に埋めて、エングレイバー(けがき針)かエッチングソーで彫り直します。 溶きパテは修正部分にピンポイントで乗せるようにし、他のモールドまで潰さない様に充分注意してください。

エアブレーキエアブレーキ(A20)の穴が貫通していません。 作品中では、はっきりと穴が空いている表現になっているので、穴を開けることにします。 φ1.5で16個。 いきなりφ1.5の穴を開けるよりも、φ1.2くらいの穴を開けてからφ1.5でモールドのラインまで広げる方が上手くいきます。 また穴のエッジは細い丸棒の金属ヤスリを転がすように用いて形を整えてやります。 面倒ですが、このキットの定番工作ですので、がんばってください。


胴体・前方 胴体・中央 胴体・後方前方

胴体パーツ(A1)はパーツの大きさのせいもあり、部分的にヒケがあります。 修正部分は以下の通り。 胴体前部・・・ドーサルスパン横部分、左右に丸く2箇所。 左側面に一箇所。 拡大画像参照のこと。 胴体中央部、ビーバーテールの接合部。 機体後部ビーバーテール部 左右2箇所。

胴体・後方裏前方ビーバーテール裏側の突き出しピン跡の処理。 写真では全て修正していますが、最も後部列(拡大写真で右側の枠の部分)だけ消せばば良いです。 他の三列は完成時には全く見えなくなります。

キャノピー

キャノピーの切り出し Ω型の断面を再現する為にスライド金型を用いられたキャノピーパーツは中央にパーティングラインがあります。 これを綺麗に消すのは、VF-1同様、エアモデル初心者には難しいと感じるかもしれません。  ここでは、安全にパーティングラインを消す方法を紹介します。

まず、ランナーから切り出しますが、このときランナーごと切り出します。 透明パーツは硬度が高いので、パーツぎりぎりで切り出してクラック等を入れないようにする為です。

キャノピーの切り出し キャノピーの切り出し エッチングソーでランナーを切り離します。 このとき部品の前後を持ちます。 決して左右を持たないようにします。 (右の写真のような持ち方をしないこと)

次に練り消しゴムを用意します。 キャノピーの内側に詰められる程度にちぎった練り消しゴムをラップで包みます。

キャノピーの切り出しラップに包まれた練消しゴムをキャノピーの内側に詰め込みます。 そしてラップの端を持ち手にしてパーティングラインをサンディングします。 
#1000→#1500と目を細くして消していきます。 パーティングラインが消えたところで、コンパウンドで磨きますが、このとき必ず布(ポリッシングクロス)を用います。 良くティシュペーパーにコンパウンドを付けて磨くヒトがいますが、ティッシュペーパー自体かなり目が粗いので、透明パーツのキズは消せません。 コンパウンドも安いチューブ入りではなく、ハセガワのセラミックコンパウンドが透明パーツにはお勧めです。
もう一つ透明パーツのキズの消し方としてはクリアを吹くという方法があります。 #1500まで仕上げたら、スーパークリアを吹きます。 これで透明度が復活します。 このとき、好みによってはクリアでなくスモークを吹くというのも良いでしょう。

Tips 垂直尾翼航行灯の透明化


垂直尾翼航行灯の透明化・その1 主翼の航行灯は翼にモールドされていますが、リプレース用の透明パーツも付属するので、透明化が可能です。 ところが、垂直尾翼の航行灯は透明パーツが用意されていません。 せっかくですから、ここも透明化します。 この方法はハセガワ主催のJMC大阪会場にてプロモデラーの田中克自氏から教わった方法です。 凄く簡単ですから、ぜひお試しください。

まず航行灯のモールドを切除します。 薄いパーツですので、デザインナイフかエッチングソーで慎重に切れば綺麗に切除できます。 次にφ0.5以下のピンバイスで切除面に一つ穴を彫ります。 ほんの1mm程の深さがあれば充分です。

垂直尾翼航行灯の透明化・その1 切断面にクロームシルバーを塗ります。 次に透明の伸ばしランナーを先程掘った穴に植えます。 これがバルブになります。

ゼリー状瞬間接着剤を航行灯のモールドがあった部分に盛り付けます。 このときゼリー状瞬間接着剤は、一度パレットの上に出してから必要量を針等で掬い取ると上手くいきます。

適当に瞬間接着剤を盛ったところで、すかさず瞬間接着剤用硬化促進スプレーを吹きかけます。 瞬間接着剤が硬化したらヤスリで形を整えます。 これだけです。 文章で書くと、段取りがいろいろあるようですが、実際にやると、あっという間に出来ますのでぜひお試しください。 さらにこの方法をお勧めする理由は、この新造した航行灯が接着剤そのものなので、知らないうちに外れて無くなるという心配がまず無いということです。 小さいパーツを紛失するショックは、モデラーなら誰もが一度は経験するでしょう?

透明ランナーにクリアレッド(左)・クリアブルー(右)を塗っておくと三菱F-2等に見られる、カバーは透明でバルブ側に色がついている航行灯が再現できます。 また、伸ばしランナーはゼリー状瞬間接着剤で覆うと、レンズ効果で太く見えますので、透明タイプの航行灯を作りたい場合はかなり細めにしておいた方が良いでしょう。

基本的に垂直尾翼上の翼端灯は航行灯ではなく、衝突防止灯で、左右共に赤が正解だと思いますし、実際VF-1ではそのような設定でした。 が、何故かVF-0は航行灯になりました。 作品中でも左が赤・右が青になっています。
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