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FAF FFR-31MR/D


PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZEメイヴに次いで、スーパーシルフ雪風も作成した。 今回も1/72のプラッツ版と1/100のバンダイ版の両方である。 どちらのモデルもOVA版のイメージを良くとらえた好キットであったが、レジンパーツを中心にした"マルチマテリアルキット"のプラッツ版とガンプラ的フォーマットを採用し、他メーカーの航空機キットとは異なる方法論で設計されているバンダイ版EXモデル。 それぞれに特徴的な二つのキットについて、全体像のみならず、細部写真と供に紹介していきたい。

Two kits of SUPER SYLPH "YUKIKAZE"


PLATZ 1/72 YUKIKAZEまずは大きさの比較から。 1/100(バンダイ)と1/72(プラッツ)。 バンダイ版が全長225mm プラッツ版が315mm スーパーシルフの機体寸法は発表されていないことになっているらしいが、寸法は両者とも約22.5mとなり、かなりの大型機である。 Web上には19.6m〜25mまで出所不明のデータが並んでいる。 これは小説版・OVA版などヴィジュアル化されただけでも、いろいろな雪風が存在することに起因する。 機体寸法についてはOVAと合わせて発売された「戦闘妖精・雪風 解析マニュアル」(早川書房 ISBN4-15-208431-6)にも記述が無い。 解析マニュアルというタイトルをつけているなら、せめて機体の寸法データくらいのせていて欲しいものだ。 この本はFAFのハードウェアのデータがいかにもの載っていそうな雰囲気の装丁だが、実はほとんどない。 文庫未収録の短編が収録されており、原作派には嬉しいが、少なくともモデリングの資料には全くならない。

Walking around SUPER SYLPH


PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZEプラッツ版のサイドビュー。 CGIのモデリングデータをCADデータに落とし込んで作った一次原型からアンリミモデル神谷氏によるディテール追加を経て、ここに到達した。 言うまでもなくOVA版の画面に出てくるスーパーシルフにそっくりである。 また、スケールサイズが大きい事の他にレジン無垢の素材から来る独特の重量感があり、存在感があるモデルである。
  PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE
バンダイ版。 写真のアングルをプラッツ版と揃えられなかったが、機体プロフィールはプラッツ版とそっくり。 プロポーションに関してはどちらも遜色が無い。 スナップフィットモデルであるため、細部にいささかダルな部分があるが、1/100というスケールを考えれば十分に良くやっていると言えるだろう。 一方でスナップフィットであることの利点もあり、通常の飛行機モデルにある脆弱感というか、「触るとすぐコワレル」ような感じは無い。

PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE PBANDAI 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZEスターボードサイド。 左がプラッツ。 右がバンダイ。 別々の写真になってしまうとスケールの違いから来る存在感の差はわからなくなる。 バンダイ版の方が機首部が若干細い印象。 バルカン砲の発射口周りのディテールも解釈が異なる。 プラッツ版が無垢のコックピットであるのに大して、バンダイ版は(ごくあっさりとした表現ながら)コックピットが彫刻され、パイロットフィギュアが座る。


PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE PBANDAI 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE機体後方から。左がプラッツ。 右がバンダイ。 この機体を見るときに個人的には最も好きなアングルである。 ちょうどVF-1がF-14を彷彿とさせるように、こちらはスホーイSu27を彷彿させる。 鎌首をもたげた蛇のように隆起したドーサルスパンが、機首サイドから流れるラインによって、強調される。

PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZEプラッツ版の脚周り。 ホワイトメタル製の脚と真鍮エッチングのギアベーン(脚収納庫扉)シャープで良い仕上がり。 主脚はアクチュエーターが別部品の凝った作りで、充分にスケールに見合ったもの。 脚庫内部はエッチングのプレートをセットするだけの、ごくあっさりした仕上がり。 首脚側のギアベーンは複雑な分割をエッチングパーツで見事に再現している。 しかし基本的には接着しろを瞬間接着剤でイモ付けするだけなので、強度的にはかなり不安。 

bandai 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE bandai 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZEバンダイ版。 Ver1.5になり、大幅にアップデートされた部分。脚柱の形状は、ほぼプラッツ版に準ずる。 首脚側のギアベーンの開き方が、分割ラインはモールドされているものの、プラッツ版とは異なる解釈。 スナップフィットで脚柱に装着するギアベーンは強度に不安が無く、安定感があるが、スケールを考えるとあり得ないほど分厚い。 もし、手に入るならプラッツから出ているバンダイキット用のエッチングパーツに置き換えたいところだ。 脚庫内に全くモールドが無いのはいくら1/100でもどうかと思う部分だ。

PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZE PLATZ 1/72 SUPER SYLPH YUKIKAZETARPSポッド。 二つのキットの間でモールド・塗り分けラインが最も異なる部分。 左がプラッツ版、右がバンダイ版。 プラッツ版はレンズ部をM.V.PRODUCTS製(φ2.4)のものにしてある。 バンダイ版はエレメントブレードの塗り分けをデカールで行うことが出来る。 但し、この作例では塗装で仕上げてある。

B3 RTB


プラッツ版・バンダイ版二つの雪風を作成してみたが、両方供に素材の良さを生かした好キットであった。 形状的には写真で判る通り、ほとんど違いは無い。 スケールが違うだけと考えてよいくらいだ。 しかし、レジンキットのプラッツ版とインジェクションキットのバンダイ版では製作の過程は全く違う。 両キット供に飛行機の形にすることについては、何ら問題は無い。 プラッツ版の方がレジンの性質上、塗膜が弱くならざるを得ない為、マスキングに注意が必要になることと、レジン無垢のキットは重たいので取り回しに注意を要する。 特に機体下面の工作・塗装時には注意が必要となる。 バンダイ版は、形になる工夫が随所にあり、ごく簡単に航空機の形になる。 パーツの分割ラインが合理的に出来ている為、どうしてもパテ埋め等が必要になるのはカナード翼の周辺くらいだ。 飛行機キットの経験が少ないことから来る演出不足(あるいは演出過剰)のような部分はあるが、スナップフィットの方法論を飛行機に持ち込んだ点は今後の発展に期待したいと思う。 現状、スナップフィットでがっちり仕上がる感じはある一方で、タボ穴の為に各所にヒケがあるのはいただけない。 プラッツ版は素晴らしいデカールが添付されるが、インストラクションマニアルの出来は正直良くない・・・というか悪い。 バンダイ版はデカールのデータにおいてはプラッツ版にも負けていないが、肝心のデカール品質があまり良くない。 しかしインストラクションは良い出来である。 プラッツが今後メジャーメーカーになる為には、インストラクションマニュアルの完成度をもっと上げる必要がある。 製作者のスキルに頼るようなマニュアルが許されるのはガレージキットだけだ。 プラッツ版¥12800にバンダイ版¥3200。 どちらも安いキットでは無いが、それぞれに価格分は答えてくれるキットだ。 特にプラッツ版の1/72で30cmmを超える飛行機モデルが発する存在感は素晴らしい。 このページがあなたのキット選びの参考になれば幸いだ。 また、このキットの製作過程については隙間埋め日記の2003年9月21から12月2日を参照されたし。
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